窮民きゅうみん)” の例文
ひどい旱魃かんばつがつづいて、諸国窮民きゅうみんにみち、道にあわれな屍臭ししゅうが漂い、都下の穀物は暴騰ぼうとうし、ちまたの顔は干からび、御所の穀倉すら貢物こうもつなく
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
衣食の計に追われている窮民きゅうみんの苦痛にくらべれば、六十何銭かを歎ずるのは勿論贅沢ぜいたく沙汰さたであろう。けれども苦痛そのものは窮民も彼も同じことである。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それは領内の窮民きゅうみんまたは鰥寡かんか孤独の者で、その身がなにかの痼疾こしつあるひは異病いびょうにかゝつて、容易に平癒へいゆの見込みの立たないものは、一々いちいち申出ろといふのであつた。
梟娘の話 (新字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
さすれば当然、分捕りの財は、それの大半を窮民きゅうみんへ分け与えてやるべきかと思いますが
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
百年の悪財、一日に窮民きゅうみんを賑わし、梁山泊軍、引揚げの事
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)