窒扶斯チフス)” の例文
それが一週間の後窒扶斯チフスと判明したので、すぐ大学病院へ入れた。三千代は看護の為附添として一所に病院に移った。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これを圧服しようと考えるのは、腸窒扶斯チフスを解熱剤で退治しようとするのと同じ庸劣な処置です。
階級闘争の彼方へ (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
急性の関節リューマチスは稀だが、筋肉リューマチスは非常に一般的である。腸窒扶斯チフス及び神経熱はめったに流行しない。殊に後者はすくない。再帰熱は時々見られる。
それは肝心のお雪伯母が、腸窒扶斯チフスかゝつて避病院に入院させられたからであつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
近頃こちらには窒扶斯チフスがはやりやしてなあ、昨夜も此の先の村の者が一人いけなくなりやしたが、全體窒扶斯つうものは喰ひ度がる病だから、構はずうんと喰はせるがいゝでごわすわ。
山を想ふ (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
丁度その頃留学生仲間が一人窒扶斯チフスになつて入院して死んだ。講義のない時間に、Charitéシヤリテエ へ見舞に行くと、伝染病室の硝子ガラスしに、寐てゐるところを見せて貰ふのであつた。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
所で明治三年ひどちょう窒扶斯チフスわずらい、病後の運動には馬に乗るのが最もよろしいと、医者も勧め朋友も勧めたので、その歳の冬から馬にのって諸方を乗廻のりまわり、向島と云う処も始めて見れば、玉川辺にも遊び
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「ええ、何故だか熱が如何しても下らないの。窒扶斯チフスぢやあないかつてお医者さまは云ふんですけれど、あたしには何だかお医者さまにも誰にも分らない、神様か仏様でなければ分らないやうな病気のやうに思はれて仕方がないの。」
酔狂録 (新字旧仮名) / 吉井勇(著)
窒扶斯チフス菌の寿命
話の種 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
しかも妻があなたに不審を起させた通り、ほとんど同時といっていいくらいに、前後して死んだのです。実をいうと、父の病気は恐るべきちょう窒扶斯チフスでした。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
人工で培養ばいやうした細菌やそれをゑた動物の血清けつせいで、窒扶斯チフスを防ぎ実扶的里ジフテリを直すことが出来る。Pestペスト のやうな猛烈な病も、病原菌が発見せられたばかりで、予防の見当は附いてゐる。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)