せばま)” の例文
更に見よ、漆のやうに鮮潤つややかなりし髪は、後脳のあたり若干そくばくの白きをまじへて、額に催せししわの一筋長くよこたはれるぞ、その心のせばまれるひだならざるべき、いはんや彼のおもておほへる蔭はますます暗きにあらずや。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
末野を過ぐる頃より平地ようやくせばまり、左右の山々近く道にせまらんとす。やがて矢那瀬というに至れば、はや秩父の郡なり。川中にいと大なる岩の色あかく見ゆるがあり。中凹みていささか水をたたう。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
布子ぬのこそでもとせばまつて両方りやうはうねたところが、宛然さながらつばさ
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)