空鼾そらいびき)” の例文
彼は細君が髭の存在を認めたことが分ると、早速向きをえて、二度と髭に触らせない様に、蒲団を被って、グウグウ空鼾そらいびきをかき出したものだ。
一人二役 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
其様そんな事を云っては酒ばかり飲んで居りますが其の夜部屋に這入って寝ますと、水司又市はぐう/\と空鼾そらいびきを掻いて寝た振りをして居ります。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と、ぐうぐう空鼾そらいびきをかき出しましたが、やがてほんとうに寝入ったようでした。
痴人の愛 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
茂之助は仰臥あおむけになって横目で二人の様子を見ながら、空鼾そらいびきを掻くうちに、あとの二人もグウー/\と寝て居ます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わざねむった振で、ぐう/\と空鼾そらいびきをかいて居りますと、廊下の障子をそっと音のしないように開けて這込はいこむ者を梅三郎が細目をひらいて見ますると、面部を深く包んで、しり端折ぱしょりを致しまして
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)