空音そらね)” の例文
春院しゅんいんいたずらにけて、花影かえいおばしまにたけなわなるを、遅日ちじつ早く尽きんとする風情ふぜいと見て、こといだいてうらみ顔なるは、嫁ぎおくれたる世の常の女のならいなるに、麈尾ほっすに払う折々の空音そらね
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
耳の底に追ひ切れない彼の車のごろごろと鳴る轍の空音そらねを感ずるばかりだつた。
夜をこめてとり空音そらねははかるとも世に逢坂おおさかの関は許さじ
俳句とはどんなものか (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
さては空音そらねではないらしい。
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)