稽古矢けいこや)” の例文
大久保小町と言はれた、植木屋松五郎の娘お駒が、稽古矢けいこやに射られて死んだと聽いて、さすがに商賣氣を離れた好奇心は動きます。
マーキュ あゝ、ロミオのやつめ、やつ最早もうんでゐるわい! あの眞白まッしろ小婦あまッちょくろでしてやられた、みゝ戀歌こひか射貫いとほされる、心臟しんざう眞中央まッたゞなかれい盲小僧めくらこぞう稽古矢けいこや打碎ぶちくたかれる。
が、たった一つ、藁屋根の頂点てっぺんに、どこから飛んで来たか、虫喰いの稽古矢けいこやが一本、天矢そらやが落ちて来た恰好に、箆深のぶかく突っ立っているだけ。
新助は本矢に近い頑固なやじりの入った稽古矢けいこやを一本ると、その根の方へ、たもとから取出した矢文——小菊へ細々としたためて、一寸幅ほどに畳んだのをキリリと結び付け、手馴れた弓につがえて