めずら)” の例文
「その父賢にして、その子の愚なるものはめずらしからず。その母賢にして、その子の愚なる者にいたりては、けだし古来まれなり」
孟母断機 (新字新仮名) / 上村松園(著)
「いや、相分りました。その話はもう止しませう。時に先生、私にもお酒とかビールぐらゐは売つて下さいな。たまには世にめずらしい高価な酒も飲んでみてえな」
金銭無情 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
、かかる性行がめずらしいことではなく、またある程度まで認められていることの、証拠である。
世間を見るに、い声がまず口唇くちびるから出るのはめずらしくも有ません。然し、この女のようなのもすくないと思いました。一節歌われると、もう私は泣きたいような心地こころもちになって、胸が込上げて来ました。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)