示寂じじゃく)” の例文
その名の起りは片手で握った形が、骨張った馬の背なかに似ているからだろうが、それを仏陀ぶっだ示寂じじゃくと結び付ける理由はなお不明である。
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
彼の全貌が、やがて大成された相を以て、はっきりと再び吾人の眼にうかび出して来るのは、何といっても、晩年熊本に定住してからの武蔵である。五十七歳以後、六十二歳で示寂じじゃくするまでの彼である。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これによると、九十三歳の円満示寂じじゃくは疑うところがない。
大菩薩峠:35 胆吹の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
春屋しゅんおくは大徳寺の名僧で、慶長十六年示寂じじゃくしている。
春屋の書について (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
示寂じじゃくすといふ言葉あり朴散華ほおさんげ
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
芭蕉示寂じじゃくして数十年の後に、有名なる『七部集』というものが結集けつじゅうせられ、末法まっぽうの有難い経典となったが、この『七部集』には異本が多く、テキストのまだ確定しておらぬは勿論もちろん
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
延慶元年臘月ろうげつ、七十四を以て示寂じじゃく
南浦紹明墨蹟 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)