碩儒せきじゅ)” の例文
慶長年間わが賈舶の安南に赴くや、当時の碩儒せきじゅすなわち徳川時代文学の開山たる藤原しゅくはその舟中の規約を作り与えて曰く
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
その遺稿がまとめられて、この春、文求堂から上梓じょうしされたのである。清末の碩儒せきじゅで、今は満洲国にいる羅振玉らしんぎょく氏がその序文を書いている。その序にいう。
斗南先生 (新字新仮名) / 中島敦(著)
故ヲ以テ碩儒せきじゅ名流四方ヨリ坌集ふんしゅうス。文酒ノ会ゴトニ客ノ来ルヤ貴賤トナク門ニ留メラルヽナシ。譾劣せんれつ余ノ如キモ辱知ノ末ニアリ。翠軒すいけん、西野、竹渓ノ諸老常ニ席賓タリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
小説家よ!……天晴あっぱれ、と一つあおいでやろうと、扇子を片手に、当時文界の老将軍——佐久良さくら藩の碩儒せきじゅで、むかし江戸のお留守居と聞けば、武辺、文道、両達の依田よだ学海翁が
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われも人も肩をきしって後れじと専念する際にはいかな碩儒せきじゅも自分特有の勘弁も何も出ないのだ。されば人間も羊同然箇人としてよりは群集としての方が扱いやすいかも知れぬ。
おさなきより学問を好みしかば、商家には要なしと思いながらも、母なる人の丹精たんせいして同所の中学校に入れ、やがて業をえてのち、その地の碩儒せきじゅに就きて漢学を修め、また岸田俊子きしだとしこ女史の名を聞きて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
碩儒せきじゅ淵叢えんそうたるゲルマン帝国のごとき、その政治ははたして人民の幸福を進捗しんちょくするに足るか。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)