硝子扉ガラスど)” の例文
そこで学生はまた四辺に注意しておいて、その横窓の硝子扉ガラスどを開けて猫のように這って外へ出たが、それは馴れた身のこなしであった。
死体を喫う学生 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
新坊はいつみても黙つて硝子扉ガラスどを押してはいつて来ると、そのまま父親にも口を利かずにこそこそ奥へ姿を消してしまふのだつた。
木の都 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
大きい男はしきりに窓へ細工をして居りましたが、やがて盲扉ブラインドを開けて、硝子扉ガラスどを開けると、なんの躊躇もなく部屋の中へ飛込みます。
身代りの花嫁 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
村上は返事をする前に、ある珈琲店カッフェ硝子扉ガラスどを押した。そうして往来の見える卓子テーブルに私と向い合って腰を下した。
妙な話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがてガチャンと言う硝子扉ガラスどにうち当ったような音がきこえてきたが、そのままひっそりとしてしまった。二階の四宮理学士のしわぶきも聴えて来ない。
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
徳市がネクタイを締直すと間もなく、鏡の奥に見える入口の硝子扉ガラスどが開いて母親らしい貴婦人に連れられた令嬢が這入って来たのが見えた。その令嬢は和装で女優かと見える派手好みであった。
黒白ストーリー (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
外から硝子扉ガラスどにぴったり寄添って、蓬々ぼうぼうに伸びあがった髯面を突出しながら、憔悴しきった金壷眼かなつぼまなこで、きょろきょろとおびえるように屋内を見廻していたが、直ぐに立上った女の視線にぶつかると
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
入口の硝子扉ガラスどにも同じ文句をげチョロケた金箔で貼り出していた。
鉄鎚 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
水蒸気に濡れたそこの硝子扉ガラスどには、幽霊の影がうつっていた。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
硝子扉ガラスどがガチャンと言ったでしょう」
階段 (新字新仮名) / 海野十三(著)
私達は、驚いて窓の硝子扉ガラスどを、力一杯押し開けた。
死の快走船 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)