石巻いしのまき)” の例文
「ちぇッ、たまらねえね。行く先ゃどこですかい。こないだは箱根へとっぱしったが、今度は奥州仙台せんだい石巻いしのまきとでもしゃれるんですかい」
甲斐の供は村山喜兵衛と、少年の辻村又之助の二人で、かれらは石巻いしのまき街道を北に向かい、その日は松島で泊ることになった。
くじらの肉の油を取ったあとを、古くから炒り殻といっていたが(浪花聞書)、本来はこれだけには限らなかったらしく、東北は石巻いしのまき大槌おおつちなどでも
食料名彙 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
磐城平いわきだいら方面から、海岸線を一直線に仙台領に着した七兵衛は、松島も、塩釜もさて置いて、まず目的地の石巻いしのまきの港へ、一足飛びに到着して見ました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
九月二十八日政府は石巻いしのまき県を廃してこれを登米県に合併せしめた。石巻県の知事山中献が登米県知事に転任したので、毅堂はその日任を解かれた。帰京の途に就いたのは十一月三日である。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
石巻いしのまきで』
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
石巻いしのまきから乗った自動車が、岡の麓の路を曲がって渡波わたのはの松林に走り着こうとする時、遠くに人と馬と荷車との一団が、斜めに横たわって休んでいると見た瞬間に
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
一つは駿河するがの国の清水港で、一つは陸前の石巻いしのまきの港だが、清水港はよいところだが、今のところ、目に立ちやすい心配がある、その点では陸前の石巻がよかろうと思う。
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
そこは石巻いしのまき街道で、左には低い丘陵の起伏が続き、右側はひろく、刈田がうちわたして見える。
中ニ妻孥さいどたずさゆル者アリ。コレヨリ先朝廷高崎藩ニ命ジテ仮ニ石巻いしのまきヲ鎮セシム。今ソノ帰ルヤ、乃チ知ル知事山中氏任ニのぞミ交代既ニおわリシヲ。高嶺ヲ左方ニ望ム。コレヲこゆレバすなわち猪代湖いなわしろこナリ。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
宮城県石巻いしのまきなどでも、元は長芋を三宝に載せて神に供えた後、その芋を耳にあてて「ええこと聞け聞け」という式があり、そのために今でも長芋を耳くじり芋といっているが
年中行事覚書 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
このまま船を行方ゆくえも知らぬ外洋へ向けて出発せしめんとするのではなく、ひとまず陸前の石巻いしのまきへ回航させて、かの地を第二の根拠として、なお修復と改良を加えてからのことだから
大菩薩峠:32 弁信の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「雁屋は石巻いしのまきから出た筈だ」
遠方えんぽうの者だろうというこってす。おれはこの年まで、石巻いしのまきまでもめったに出ねエ者だが、おれの馬鹿なことはよっぽど遠くまで聞こえてるといって、家で笑っていたことでがす。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
「明日はいよいよ、仙台石巻いしのまきの港へ着くそうでございますね」
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)