すっく)” の例文
このていを見ますと、今まで橋の欄干てすりに縋り付いて泣いていた婆さんが、急に泣き止んですっくと立ち上りまして、いきなり頭巾や、外套や、手袋をかなぐり棄てますと
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
あとはどう来たか、こわい姿、すごい者の路をさえぎってあらわるるたびに、娘は私を背後うしろかばうて、その鎌を差翳さしかざし、すっくと立つと、よろうた姫神ひめがみのように頼母たのもしいにつけ、雲の消えるように路が開けてずんずんと。
薬草取 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
爛々らんらんたる火焔かえんはきすっくたったる
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
すっくとばかり立ち上りましたが、その右手を高く挙げたのを見ると、一匹の恐ろしい姿をした蛇が、宝石の鱗を眩しい程光らせながら、真赤な舌をペロペロと吐いて巻き付いておりました。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)