真赧まっか)” の例文
旧字:眞赧
小姑のすぎも嗤い、登勢のうすい耳はさすがに真赧まっかになったが、しかしそれから三日もたつともう嗤われても、にこっとえくぼを見せた。
(新字新仮名) / 織田作之助(著)
次郎は、顔を真赧まっかにして、茶の間に帰った。お芳もそのあとからついて来た。みんなの視線がいっせいに次郎のさげているお土産の包にそそがれた。
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
佐治さん、ひどく吃驚びっくりしてしまって顔を真赧まっかにしているじゃないの。どこでそんなことを聞込んだかって、一生懸命気にしていて可笑おかしいったらない。
偽悪病患者 (新字新仮名) / 大下宇陀児(著)
もうつらからして真赧まっかでな、おおかた強い酒を浴びるほど喰らってけつかるのでがしょうよ。
日ごろは三杯と飲まぬうちにもう真赧まっかになってしまうのだが、今夜はどうしたのやらいくら飲んでも酔いを発しない。薬でも呑むようにぐっと呑み乾しては、そのまままた猪口ちょこを差出すので
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ふと視線が合うと、蝶子は耳の附根つけねまで真赧まっかになったが、柳吉は素知らぬ顔で、ちょいちょい横眼よこめを使うだけであった。それが律儀者りちぎものめいた。
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
真似てみて、次郎は顔を真赧まっかにした。しかし、春子も竜一も、まるで気がつかなかったふうだったので、彼は勇気を得、それから盛んに、「姉ちゃん」を連発した。
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
春子の顔は、瞬間に真赧まっかになった。そしてすぐ竜一の方を見ながら
次郎物語:01 第一部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
満右衛門は真赧まっかになって、畳にしがみついていた。
勧善懲悪 (新字新仮名) / 織田作之助(著)