眉廂まびさし)” の例文
彼の豊かな頬には、かぶとの眉廂まびさしにちりばめてある黄金こがねが映じて、いかにもこの壮年の大将の前途を華やかに想わせたものだった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
第三の頭巾ずきんは白とあい弁慶べんけい格子こうしである。眉廂まびさしの下にあらわれた横顔は丸くふくらんでいる。その片頬の真中が林檎りんごの熟したほどに濃い。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
花崗岩帯かこうがんたいの白いあらい土質が空のかがやきをハネ返して、かぶとの眉廂まびさしにてかてか火照ほてる。——時はまだ午前九時半ごろか。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みな、かぶとの眉廂まびさしをうつむけ、そして正行の冬日にかすむ姿を時々には先頭の遠くに見ていた。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美濃守も、凝然ぎょうぜんと、かぶとの眉廂まびさしから、敵方の城門を見つめたままであった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
武敏は馬上でうなずきながら、かぶとの眉廂まびさしに手をやって顔をそむけた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)