目醒めざま)” の例文
併し余は演劇映画の上演はその頃から絶対謝絶していたから小説を書いたからといって特に目醒めざましい収入というのは無かったのである。
生前身後の事 (新字新仮名) / 中里介山(著)
と叫ぶと、僕はサイレンのスウィッチを下す、村人がき立つ、海上には忽ち目醒めざましい活劇がき起る。
吊籠と月光と (新字新仮名) / 牧野信一(著)
仏蘭西フランスの老画家アルピニーはもう九十一二の高齢である。それでも人並ひとなみの気力はあると見えて、この間のスチュージオには目醒めざましい木炭画が十種ほど載っていた。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
枕許まくらもとに置き並べた、舶来物でもあるのか、見なれぬ形の目醒めざまし時計、漆器しっき巻煙草まきたばこ入れ、色硝子いろがらすの灰皿、いずれを見ても、それらの品物の主人公が、世にも綺麗きれい好きな
屋根裏の散歩者 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
目醒めざまし腕時計
発明小僧 (新字新仮名) / 海野十三佐野昌一(著)
普通の小説のような脚色がありながら、その方の筋はいっこうできていないで、かえって自然力の活動ばかり目醒めざましいので、余はこれを主客顛倒てんとうと評したのである。
色のめた過去をさかじ伏せて、目醒めざましき現在を、相手が新橋へ着く前の晩に、性急にこしらえ上げたような変りかたである。小夜子には寄りつけぬ。手を延ばしても届きそうにない。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
最後に、この生活慾の目醒めざましい発展を、欧洲おうしゅうから押し寄せた海嘯つなみと心得ていた。
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)