皺首しわくび)” の例文
と、杯を返す手からもうこの古武士ふるつわものは、わざと酔いを誇張して酩酊めいていした太郎冠者たろうかじゃのように細い皺首しわくびを振りうごかした。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蒲団の上に足をのばしながら、何か近頃この街で珍らしくかわった話は無いか? 私が問うと、老按摩あんま皺首しわくび突出つんだして至って小声に……一週間前にしかもこの宿で大阪おおさか商家あきゅうどの若者が
菜の花物語 (新字新仮名) / 児玉花外(著)
「オイ、飯を食わせろ」と叫ぶと、安達あだちはらの鬼婆然たる婆さん、皺首しわくびを伸ばして
本州横断 癇癪徒歩旅行 (新字新仮名) / 押川春浪(著)
九郎兵衛は、皺首しわくびを振り向けて、すぐ起ち上った。もう弓腰に曲がっているが、常に養生のいい老人で健康が自慢であった。つつつと次部屋を越えて
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
軍鶏しゃものように細ッこい皺首しわくびが、背の高い武蔵へ向って伸び上がっていうのだった。
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それでもなお、又八が足を止めないので、お杉隠居は、皺首しわくびを前に伸ばし
宮本武蔵:04 火の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、怒りにまかせて、この細ッこい皺首しわくびを捻じ切る気にはなれなかった。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、皺首しわくびを振って、まず、刀を抜く前に、言葉から斬ってかかった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)