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皸
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あかぎれ
ふりがな文庫
“
皸
(
あかぎれ
)” の例文
そして指の節々には、殆ど一本も残らず、大きな
皸
(
あかぎれ
)
が深い口をあけて居た。時々赤い血が小指の節などから
滴
(
したゝ
)
つた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
「民さんは町場もんですから、春蘭などと品のよいこと
仰
(
おっ
)
しゃるのです。矢切の百姓なんぞは『アックリ』と申しましてね、
皸
(
あかぎれ
)
の薬に致します。ハハハハ」
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
この
爺
(
ぢい
)
やの
大
(
おほ
)
きな
手
(
て
)
は
寒
(
さむ
)
くなると、
皸
(
あかぎれ
)
が
切
(
き
)
れて、まるで
膏藥
(
かうやく
)
だらけのザラ/\とした
手
(
て
)
をして
居
(
ゐ
)
ましたが、でもその
心
(
こゝろ
)
は
正直
(
しやうぢき
)
な、そして
優
(
やさ
)
しい
老人
(
らうじん
)
でした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ばね竹の紐から簀框を外して、
皸
(
あかぎれ
)
だらけの手を揉んでいると、今漉き重ねたばかりの紙から、しきりにしたたり落ちる滴の音が、はじめて耳に入ってくるのであった。
和紙
(新字新仮名)
/
東野辺薫
(著)
社会生活の破壊がもたらす様々な辛苦を、家庭で婦人は自身の
皸
(
あかぎれ
)
のきれた手によって知っている。
現実に立って:婦人が政治をどう見るか
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
皸
(
あかぎれ
)
さえ無ければ申し分ないのだがといわれ、なお愛嬌もよく、下足番をして貰うよりは、番台に坐ってほしいと、日の丸湯の亭主が言いだしたので、他吉はなにか狼狽して
わが町
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
指の太い、
皸
(
あかぎれ
)
だらけの、赤黒い不恰好な手が、急がしさうに、細い真鍮の火箸を動かす。
菊池君
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
だからやっているのではないが、私は今も半労働を続けている。今この原稿を書いている私の手は、
皸
(
あかぎれ
)
と
罅
(
ひび
)
とで色が変わっているほどだが、晩年のトルストイの手のことを思うとなんでもない。
骨を削りつつ歩む:――文壇苦行記――
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
急に水仕事が多くなつたので、私の手は
胼皸
(
あかぎれ
)
で埋つた。埋つたといつても決して誇張ではなかつた。元来私は荒れ性で、田舎に居た頃から、冬になると手足に
皸
(
あかぎれ
)
がきれて仕方がなかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
おさやは思わず坐り直して
皸
(
あかぎれ
)
のある手を深く襟元にさし入れた。
猫車
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
皸
漢検1級
部首:⽪
14画
“皸”を含む語句
相不変皸
胼皸