白鳳はくほう)” の例文
此の白鳳はくほうの遺作に加えて、もう一つ同時代の、しかも甚だしくその性格を異にする日本美の源泉となり得るものを挙げて置きたい。
美の日本的源泉 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
「それから、この金仏様かなぶつさま——これが奈良朝よりもう少し古い、飛鳥時代あすかじだいから白鳳はくほうという代物しろものなのだ、これは四条の道具店の隅っこで見つけました」
白鳳はくほうの薬師如来は、すべての祈りの声を、声のままにいつとはなし自己の光りのメロデーと融合せしむるごとくである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
因陀羅いんだらか、梁楷りょうかいか、大分近づいたが、さらにさらに進むべきだ。然らば白鳳はくほうか、天平てんぴょうか、推古すいこか、それそれ。すなわち推古だ。推古仏。法隆寺の壁画。それでよい。
河豚のこと (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
西郊余翰さいこうよかん』巻一に、土佐高岡郡多野郷の賀茂神社にある八百比丘尼の石塔の事を記しているが、白鳳はくほう十二年という大昔、この海辺に千軒の民家があった時代という。
雪国の春 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そろそろ日本にかえって伎楽面ぎがくめん白鳳はくほうの彫刻の話でもはじめようかと思っていた矢先きだった。
軍国歌謡集 (新字新仮名) / 山川方夫(著)
自分の考察は、白鳳はくほう天平てんぴょうの仏菩薩像を眼中に置いて、これらの像の作者がいかなる人体の美を生かせて彼らの「仏」と「菩薩」とを創作したかについての、一つの落想から出発する。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
白鳳はくほう丸と改名されて英薩戦争で英艦隊に拿捕だほされ焼棄された。
咸臨丸その他 (新字新仮名) / 服部之総(著)
そこに一見学問的にしてしかも無意味な比較研究が起る。白鳳はくほう天平てんぴょうの諸仏に比して、飛鳥仏の稚拙と固定性は美術家のすべてが論ずるところである。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
大分だいぶ近づいたが、さらにさらに進むべきだ。しからば白鳳はくほう天平てんぴょう推古すいこか。それそれ、すなわち推古だ。推古仏。法隆寺の壁画。それでよい。ふぐの味を絵画彫刻でいうならば、まさにそのあたりだ。
河豚は毒魚か (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
薬師寺東院禅堂の聖観音立像は、天武てんむ天皇の時代、百済王より献上せる白鳳はくほう期最高の霊像といわるるみ仏である。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)