えき)” の例文
八八窮鬼いきすだまといふものにや、八九古郷ふるさとに捨てし人のもしやと九〇ひとりむね苦し。彦六これをいさめて、いかでさる事のあらん。九一えきといふものの悩ましきはあまた見来りぬ。
第四 冬寒支体僵瘃きょうちょくノ病 雪塊ヲ取テ患部ニ擦搽さったスレバ即チユ 又臘雪水甘クシテ大寒 天行えきヲ解シ一切ノ瘡毒そうどくヲ療ス ソノ他諸病ニ於テかならずツ所ニシテ医家欠クベカラズ
(新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
このえき病は、持続的にかつ異常にはげしく、全インドに猛威もういをふるった上、東のほうはシナへ、西の方はアフガニスタンとペルシアへ進入して、隊商の交通の主要路にそいながら
病と死亡の数字が、二十、四十、いや百以上にも及ぶ、とあるかと思うと、そのすぐあとで、えき病のいっさいの出現が、きっぱりと打ち消されていないまでも、すくなくとも全くまれな
かの武士、左門が愛憐あはれみの厚きになみだを流して、かくまで一九漂客へうかくを恵み給ふ。死すとも御心にむくいたてまつらんといふ。左門いさめて、ちからなきことはな聞え給ひそ。凡そ二〇えきは日数あり。
「どうしてそんなことがあるものですか。えき病が非常に苦しいものであるということは、私は、これまでも実際に数多く見てきました。熱がすこしさめると、まるで夢のあとのように、それまでの苦しさなどけろりと忘れたようになるものです」