異腹はらちがい)” の例文
宮様は親子ちかこ内親王という。京都にある帝とは異腹はらちがい御兄妹ごきょうだいである。先帝第八の皇女であらせらるるくらいだから、御姉妹も多かった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
真実ほんとうに新ちゃんはいい男ですね。」お銀は甥の留守の時笹村に話しかけた。甥は笹村の異腹はらちがいの姉の子であった。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
其の腹へ出来たは女という事を物語ったが、そんなら七ヶ年以来このかた夫婦の如く暮して来たお賤は、我が為には異腹はらちがいいもとであったかと、総身そうしんからつめたい汗を流して、新吉が
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
それでもなお近郷きんごうでは屈指の分限者ぶげんじゃに相違ないと云う事、初子の父の栗原は彼の母の異腹はらちがいの弟で、政治家として今日の位置にこぎつけるまでには、一方ひとかたならず野村の父の世話になっていると云う事
路上 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
実の兄弟きょうだいはなし、ただ一人ひとりお喜佐のような異腹はらちがいの妹に婿養子の祝次郎はあっても、この人は新宅の方にいて彼とはあまり話も合わなかった。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
笹村の小さい心臓は、この異腹はらちがいの姉の愛児のことについても、少からず悩まされた。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)