甲館こうかん)” の例文
さもあらばあれ、おもしろきいくさになろう。信玄越後へ攻入らば、謙信もまたたくまに甲府を席巻し、彼の甲館こうかんへ乗入らんこといと易いわざだ。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
甲館こうかん躑躅つつじさき詰侍つめざむらいが、すでに、ここの物音を聞きしって、そとをかためてしまったにそういない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
やはり、甲館こうかんほりのうちで、躑躅つつじさき殿でんのうちの桜雲台おううんだいじょうじき広間ひろまの東につづいてってある。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これを世上一般では甲館こうかんと称したり、おやかたとよんだり、また躑躅ヶ崎城ともいっているが、決して城造りではなく、平凡平坦な土地に、水濠みずぼりひとめぐらした大きな邸宅にすぎないのである。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)