生存ながら)” の例文
他人ひとはとまれおまへさまばかりはたかこゝろ御存ごぞんじとおもふたはそらだのめかなさけないおことばまへさまとえんきれて生存ながらへるわたし思召おぼしめすかうらみを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
長八は渋江氏の江戸を去る時墓木ぼぼくきょうしていたが、久次郎は六十六歳のおきなになって生存ながらえていたのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「大塔宮様にお目にかかり、許すとの御言葉みことば承まわり、真人間となる願望だけを唯一の目標といたしまして、いまに生存ながらえおりまする生ける死骸にござりまする」
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
私だって、実際生存ながらえていようとは考えないが、随分その当時、表向きに騒いで、捜索さがしもしたもんだけれども、それらしい死骸も見附からないで、今まで過去すぎさったんだ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
否、母もさは思ひ候はざりき、生存ながらへたらばいかに嬉しとおもふらんものを。われ。何とか言ふ。ドメニカは最早世にあらずとか。童。地の下に埋めてより、既に半年になりぬ。
されば君は世のために生存ながらへ給ふべき人なり、世の寶なり、幾百萬の人をか喜ばせ樂ませ給ふらん。ゆめ一人の人になその尊き身をわたくしせしめ給ひそ。世の中の人、誰かおん身を戀ひ慕はざらん。