甘茶あまちゃ)” の例文
ある日、かれのそうした様子を見ていた茶目な一塾生が、四月八日の甘茶あまちゃだといって、タオルにふくませた湯を、かれの頭上にたらたらとかけてやった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
四月八日の花まつりにはお糸さんと一緒に竜泉寺町の大音寺に甘茶あまちゃをもらいに行った。甘茶をもらいに行くのは私の役目で、まえの年にはなかやと一緒に行った。
桜林 (新字新仮名) / 小山清(著)
清と山嵐とはもとより比べ物にならないが、たとい氷水だろうが、甘茶あまちゃだろうが、他人からめぐみを受けて、だまっているのは向うをひとかどの人間と見立てて、その人間に対する厚意の所作だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
村は一月晩ひとつきおくれでも、寺は案外陽暦ようれきで行くのがあって、四月八日はお釈迦様しゃかさま誕生会たんじょうえ。寺々のかねが子供を呼ぶと、とうかあねえに連れられた子供が、小さな竹筒をげて、嬉々ききとして甘茶あまちゃを汲みに行く。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
釈迦しゃか甘茶あまちゃ眼病めやみなおすより、もっとわけねえ仕事しごとじゃねえか
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)