ワン)” の例文
ナニ、皆れるから生命いのちだけは助けてくれか。ハハハハ……それは時と場合に依っては助けてやらない事もないが、それじゃワン君に済まない事になるんだ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「一寸、油断しとったら、早や、ワンが黙って、『快上快クワイシャンクワイ』を、持ち出して売ってるんだよ。」
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
まず第一に死ぬべき奴は小Dと趙太爺だ。その外秀才もある。偽毛唐もある。……残る奴ばらは何本ある? ワンなんて奴は残してやるべき筋合の者だが、まあどうでもいいや……
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
一体君はどうしてワン君と識合しりあいになったんだい。ドウセお楽しみ筋だったのだろう。ハハハ。ナニそうじゃない。両替をするつもりで王君のレストランへ這入はいった。ウム。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
チンバがやって来ると、おかしがって、家の中をはねとんでいたすゞが、門の外からワンを呼ぶ中津のはばのある押しつけるような声に、耳の根まで真紅に染め、どこかへ逃げかくれだした。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)
僕は名刺を持たないが……。ハハア。ワン君から聞いて知っているか。成る程成る程。どうぞよろしく……ナニ。日本語がまずいから許してくれ。ナアニ。よく解るよ。それ位出来れあ沢山だよ。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ワンの、卑屈げに、はにかんだ声を、幹太郎は意識した。
武装せる市街 (新字新仮名) / 黒島伝治(著)