猟夫かりゅうど)” の例文
旧字:獵夫
しか猟夫かりゅうどが此の様子を見て居りはせぬかと絹川の方を眺めますれど、只水音のみでございまして往来は絶えた真の夜中でございます。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
村に猟夫かりゅうどが居る。猟夫りょうしといっても、南部のいのししや、信州の熊に対するような、本職の、またぎ、おやじのおすではない。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猟夫かりゅうど樵夫きこりの荒くれ男ですらこれを魔所と唱えて、昼も行悩ゆきなや三方崩さんぽうくずれの悪所絶所を、女の弱い足で夜中に越そうと云うのは、余りに無謀で大胆であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
『カルメン』の「煙草たばこ女工の合唱」「猟夫かりゅうどの合唱」(四一七三)などを入れたのは、もう十年も前のレコードだが、背景の管弦楽の吹込みの古さを気にしなければ
めえさんの持ち矢はもう終えたのか。それじゃ今度は俺の番だ……俺の弓には作法はねえ。そうして掛け声も掛けねえのさ。黙って引いて黙って放す。これが猟夫かりゅうど射方いかただあね
日置流系図 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猟夫かりゅうどさんでごぜえやすか、既に此奴こいつに殺される所を助かりやした、わしの懐中に金のあるのを知って跡を
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
かくに彼等は一種の魔物として、附近の里人から恐れられている。山深く迷い入った猟夫かりゅうどが、暗い岩蔭にうそぶいて立つ奇怪の𤢖をれば、銃を肩にして早々に逃げ帰る。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
若い時は、渡り仲間の、のらもので、猟夫かりゅうどを片手間に、小賭博こばくちなどもるらしいが、そんな事より、古女房が巫女というので、聞くものに一種の威力があったのはいうまでもない。
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猟夫かりゅうどを頼んで見張みはりをしたが、何も見えないが、奇妙に夜にるとただ猟夫かりゅうどがつれている、犬ばかりには見えるものか、非常に吠えて廻ったとの事、この家に一人、子守娘が居て、その娘は
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
猟夫かりゅうど樵夫きこりも滅多に通わなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)