独帝カイゼル)” の例文
独帝カイゼルはぶつぶつぼやきながら宮城に引きかへした。そして侍医の鼻先に血だらけな拳骨げんこをぐつと突き出した。侍医は叮嚀に繃帯をした。
他人ひとの帽子を擲りつけるといふのは、年中頭ばかり下げて暮してゐる人達にとつて、実際胸の透く遊戯に相違なからうが、独帝カイゼルのやうに
大分だいぶん以前の話だが、独帝カイゼルには伯母さんに当る英国のヸクトリア女皇ぢよわうくなられて、葬儀の日取が電報で独帝カイゼルもとしらされて来た事があつた。
その上一つ間違つたら、相手から自分の帽子を擲りつけられるといふ心配があつてみれば、独帝カイゼルうしてもこの遊びを捨てる訳にかなかつた。
「その時はな、」と独帝カイゼルは電報を卓子テーブルの上に投げ出して、その手でいきなり甥の耳をつまむだ。「その時はかうして他人ひとの耳を引張つてやるのぢや。」
講和問題でひどく弱り切つてゐる独帝カイゼルは、今度は誰の耳を撮んだものかと、じろじろ四辺あたり見眴みまはしてゐるに相違ない。