物売ものう)” の例文
旧字:物賣
ときどきまち人通ひとどおりのたくさんな、にぎやかなちまたほうから、なにか物売ものうりのこえや、また、汽車きしゃのゆくおとのような、かすかなとどろきがこえてくるばかりであります。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まだ朝霞あさがすみがたちこめているので、おおかた薪拾まきひろいの小僧こぞうか、物売ものうりだろうくらいに思っていた蛾次郎は、だんだん近づいて見てびっくりした。どうも、それは鞍馬くらま竹童ちくどうらしい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手には刀をふりまわし、足はそこらの物売ものうりのかたぱしからちらしてゆく。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さまざまの物売ものうりのごえがきこえてきたり、また人々ひとびと往来おうらい足音あしおとがしげくなって、あたりは一はざわめいてきました。こうして、やがては、しっとりとした、しずかなよるにうつるのでした。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「こらッ、物売ものうりどもは、店をかたづけい」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)