片手間かたてま)” の例文
そこで賃仕事の片手間かたてま一中節いつちうぶし稽古けいこをし、もし上達するものとすれば師匠ししやうになるのも善いと思ひ出した。しかし一中節はむづかしかつた。
素描三題 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのどの家もめいめいの商売だけではくらしがたたず、百姓ひゃくしょうもしていれば、片手間かたてまには漁師りょうしもやっている、そういう状態じょうたいは大石先生の村と同じである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
お福の宿の魚八では、近ごろ店の商売が思わしくないので、女房と息子は商売の片手間かたてまに河豚の皮を干している。
半七捕物帳:56 河豚太鼓 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
無論その半年の間、僕はこの女ばかりをねらっていたのでは無く、沢山の若い女をあさりあるいている片手間かたてまに、一つの長篇小説でも書くつもりで、じっくり襲いかかって行ったのだ。
恐しき通夜 (新字新仮名) / 海野十三(著)
片手間かたてまにして其日々々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
英吉利イギリス語を教える報酬ほうしゅうは僅かに月額六十円である。片手間かたてまに書いている小説は「中央公論ちゅうおうこうろん」に載った時さえ、九十銭以上になったことはない。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)