無考むかんが)” の例文
それだのに一人藤九郎ばかりは、無考むかんがえにも使い果たしてしまった。そうして恐ろしく貧乏して貧乏の中に死んでしまった。
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「お祖父さんはあの時お褒めになったわ。道徳的な間違でとて無考むかんがえな子には出来ない間違だって仰有いましたわ」
親鳥子鳥 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
人間にんげんは、ただわがままで、無考むかんがえで、快楽かいらくっているとしかおもわれませんでした。まったくものかなしみというものをらないもののごとくにしかかんがえられませんでした。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
家の中のごたごたから勘当されて自棄でいたから、焼け出されて逃げて来たお前と、二人一緒にいたさに後さきなしの無考むかんがえで、江戸を離れたのが悪かったのだ。その罪はわたしにある。
中山七里 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「……無考むかんがえにも程がある……」
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)