烏金しゃくどう)” の例文
金の吸口くちで、烏金しゃくどうで張った煙管きせるで、ちょっと歯を染めなさったように見えます。懐紙かいしをな、まゆにあてててまいを、おも長に御覧なすって
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
妙に白耳義が贔屓ひいきで、西班牙がすきな男だから、瓜のうつろへ、一つには蛍を、くびあかがねに色を凝らして、烏金しゃくどう烏羽玉うばたまの羽を開き、黄金きんと青金で光の影をぼかした。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
床なる花瓶の花もしぼまず、西向の欞子れんじもとなりし机の上も片づきて、すずりふたちりもおかず、座蒲団ざぶとんを前に敷き、かたわらなる桐火桶きりひおけ烏金しゃくどう火箸ひばしを添えて、と見ればなかに炭火もけつ。
琵琶伝 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
地金は多くは銀だが、青銅も、朧銀しぶいちも、烏金しゃくどうも……真黒まっくろな瓜も面白い。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)