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濘
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ぬか
ふりがな文庫
“
濘
(
ぬか
)” の例文
此
(
この
)
辺の土質は花崗岩の
霉爛
(
ばいらん
)
した砂地である為に、雨は降っても道は
濘
(
ぬか
)
らない。路傍の草なども綺麗に刈り払われてあった。
秩父宮殿下に侍して槍ヶ岳へ
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
この辺はいわゆる山の手の赤土で、少しでも雨が降ると下駄の歯を吸い落すほどに
濘
(
ぬか
)
る。暗さは暗し、靴は
踵
(
かかと
)
を深く土に据えつけて
容易
(
たやす
)
くは動かぬ。
琴のそら音
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
天気は非常によかったけれど、地面がひどく
濘
(
ぬか
)
っていたため、泥が車の輪にへばりついて
忽
(
たちま
)
ちまるで
毛氈
(
フェルト
)
でもかけたようになり、それがため馬車はぐっと重くなった。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
少し雨でも降り続くと、道といふ道は、まるで糠味噌のやうに
濘
(
ぬか
)
つてしまふ。
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それに傘をもささねばならなかつた。道は非常に
濘
(
ぬか
)
つて居た。どうせ遊んで居る閑人だ、運動なら自分で連れて歩け……と言つた言葉を思ひ出すと、彼は歩きながら悲しげに苦笑を洩した。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
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重「
大分
(
だいぶ
)
傳助道が
濘
(
ぬか
)
るのう」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
直ぐ
羊歯
(
しだ
)
などの生えた下から水を噴いて
濘
(
ぬか
)
り易い山腹にかかる、それも少し、また河原へ下りて虎杖の中に隠れる。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
雨は
歇
(
や
)
んだが道は
濘
(
ぬか
)
るので足が重い。十一時天科に着いて水を入れる用意に一升入れの石油缶を買ったなどは、奇想天外から来たと自慢する価値はあろう。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
猟師の
所謂
(
いわゆる
)
ノタも鹿の好む場所である。小石交りのじめじめした、草も木も生えない
濘
(
ぬか
)
り気味のある山上の平な窪地で、それをこね返して夢中になって遊んでいるものだと猟師が話して聞かせた。
鹿の印象
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
濘
漢検1級
部首:⽔
17画
“濘”を含む語句
泥濘
泥濘路
泥濘道
泥濘孔
泥濘滑澾
濘海
濘落