漁撈ぎょろう)” の例文
中島才太郎は第二明昭丸の漁撈ぎょろう長だった。まぐろを捕りに印度洋インドようまでゆき、満船になったので帰る途中、突風にやられて船は沈没した。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
明鯛すけそうからたら、鱈からにしん、鰊から烏賊いかというように、四季絶える事のないいそがしい漁撈ぎょろうの仕事にたずさわりながら、君は一年じゅうかの北海の荒波や激しい気候と戦って
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
、こんな辺土の浦浜うらはまへ流れきて、不法の漁撈ぎょろうに連座し、つまらなく腹を切るというのは
奥の海 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
農耕漁撈ぎょろうの生産面は言うに及ばず、神祭や生死の儀式にも一貫して、力強い指導原理を打ち立てていたらしく、単なる方術の類でなかったことは、わずかに残った遺跡からもうかがわれるのだが
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
日本の近海から魚類がいなくなり、インド洋やアフリカや地中海まで漁撈ぎょろうにでかけなければならない。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「高川の叔父さんもいい人だ、松山船長も、中島漁撈ぎょろう長もいい人だった」と彼は呟いた、「みんないい人ばかりだったな、みんな死んじゃったけれど、いい人たちばかりだった」
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)