清汁すまし)” の例文
[九月吸味]御所がき、岩たけ、くるみ、きくな、みる、わさびすみそ、[十月清汁すまし]実くるみ、みる、[十一月吸物]ひらたけ、みる、と出ている。
植物一日一題 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
月並能の後、一人頭二三十銭宛切り立てて舞台で御馳走を喰うのが習慣になっていたが、御馳走といっても、味飯かやくめし清汁すまし、煮〆程度の極めて質素なものであった。
梅津只円翁伝 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
「大ごなしが済んだあとは、わしが手でぶつぶつと切っておましょ。鷺の料理は知らぬなれど、清汁すましか、味噌か、焼こうかの。」とほだをほだて、鍋をゆすぶって見せつけて
神鷺之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
『日本風の透明スープ』はお清汁すまし……『豆の冷いカスタード』は冷奴ひややっこ。これはよろしい。オイル・アップとはなにか? 油揚のことなんだ。どこまでひとを馬鹿にする気なのか。
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
おかゆを軽く一わん、おかずもにおいの強いものは駄目だめで、その日は、松茸まつたけのお清汁すましをさし上げたのに、やっぱり、松茸の香さえおいやになっていらっしゃる様子で、おわんをお口元まで持って行って
斜陽 (新字新仮名) / 太宰治(著)