浮萍うきくさ)” の例文
箇程かほどまでに迷わせたるお辰め、おのれも浮世の潮に漂う浮萍うきくさのようなさだめなき女と知らで天上の菩薩ぼさつと誤り、勿体もったいなき光輪ごこうまでつけたる事口惜し、何処いずこ業平なりひらなり癩病なりんぼなり、勝手に縁組、勝手にたのしめ。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
是れ等のものはスフㇶンクスに属する妖術の種類にあらずして、何事をか吾人に教へ、何物をか吾人に黙示し、吾人をして水上の浮萍うきくさの如く浪のまに/\漂流するものにあらざるを示すに似たり。
今却りて浮萍うきくさの底に沈める泥中の光にへる卒爾そつじ歓極よろこびきはまれればなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)