浮浪者ふろうしゃ)” の例文
浮浪者ふろうしゃのトーマスは、いまにもきだしそうだった。目にみえて元気をうしない、あきらめきったようすで、とぼとぼと歩きつづけた。
それは、事件の少し前まで、毎日のようにこの近所をうろついていた老人の浮浪者ふろうしゃが、どういうものかあの頃以来さっぱり姿を見せないといううわさだった。
四次元漂流 (新字新仮名) / 海野十三(著)
大きな会堂の中はからっぽです。むかし高価な絵がかかっていたところも、いまでははだかの壁がむきだしになっています。浮浪者ふろうしゃがアーチの下でねむっています。
かれらはジプシー族や浮浪者ふろうしゃであった。どれも宿やどなしの浮浪人であった。
と、宇宙うちゅう浮浪者ふろうしゃであるかぜは、かたってかせました。
明るき世界へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
酒場さかばのおやじが気のない調子ちょうしで言ったとたん、ばたばたと足音が近づき、ドアをさっとひらいて、あの浮浪者ふろうしゃのトーマスがとびこんできた。
そのときすでに研究けんきゅうは、九どおりできあがっていたんだ。その大体だいたいのことは、浮浪者ふろうしゃがもちげしたノートに、暗号あんごうをつかって書いてある。