浩歎こうたん)” の例文
彼等はこれを知らずして只いたずらに天を仰いで空しく世道人心の頽廃を浩歎こうたんしているのであります。思い切って鼻を往来の塵に埋めて
鼻の表現 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
いまだゲルマンのごとくはなはだしき空論世界あらざるは吾人が実にゲルマン人民のために浩歎こうたんするところなり。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
と、不満の上に、お角さんが浩歎こうたんすると、亭主も、村役も自分の事のように当惑したかおをして
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
年の若い巡査は警部が去ると、大仰おおぎょうに天を仰ぎながら、長々ながなが浩歎こうたん独白どくはくを述べた。何でもその意味は長いあいだ、ピストル強盗をつけ廻しているが、逮捕たいほ出来ないとか云うのだった。
将軍 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
浩歎こうたんした。また、後嗣こうし光尚に宛てた書面にも
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吾人は欧州現今の形勢をて実に浩歎こうたんに堪えざるなり。しかれどもかの欧州諸国はいかにしてかくのごとく莫大ばくだいなる兵備を整うを得るか。必ず莫大なる経費を要せざるべからず。
将来の日本:04 将来の日本 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
米友は思わずこの世話焼かせ者の、恩知らずの動物に、浩歎こうたんの叫びを発しました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
兵馬は天を仰いで浩歎こうたんしますと、お浜は、いよいよ落ちついたもので
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)