江戸前えどまえ)” の例文
本来は江戸前えどまえ風に蒸しにかけないで、関西風にじかに焼くがいい。醤油のたれを甘くしないで、直焼きにしたものの方が茶漬けには適する。
鱧・穴子・鰻の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
東京で見る寿司屋の看板のすべては(京阪けいはん地方においても同じ)握り寿司屋であるかぎり、みながみな「江戸前えどまえ」なる三字を特筆大書とくひつたいしょしている。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
それから飯の味付けは、上方かみがた式に米の中に昆布こぶ、砂糖などでいろいろ加味しては江戸前えどまえにはならない、塩、酢、だけの味付けが本格である。また飯の握りの大きいのは安物やすものである。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
さて、このきはだやかじきというやつも、東京には年中あるようなものだが、十二月より三月ごろにかけてあるものは、おおむね台湾たいわんからやってくるので、いわゆる江戸前えどまえ美味うまさはない。
鮪を食う話 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
今後の東京人は、たい茶漬けなんて関西の模倣もほうをやらないで、堂々と江戸前えどまえのまぐろをもって、たい茶漬けに対すべきである。東京には関西のような、美味なたいがないから、なおさらである。
鮪の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
江戸前えどまえを誇ったいさはだの寿司屋など跡を絶たねばならなくなるだろう。
握り寿司の名人 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
これまた、その材料の吟味ぎんみいかんによる。これから述べようとするのは、東京の一流てんぷら屋の自慢するまきと称する車えびの一尾七、八もんめまでの小形のもので、江戸前えどまえの生きているのにかぎる。
車蝦の茶漬け (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)