水辺みずべ)” の例文
時には静かな三味線しゃみせんの音でも聞くだけのことを心やりとして酒のある水辺みずべの座敷へ呼んで見る若草のような人達や
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
と見かえして、そういうが早いか、燕作のからだは、いわ着物きものをきせてころがしたように、そこからさわの下の水辺みずべまで一いきにザザザザザとかけおりてしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
白い布を腰に巻いて水辺みずべでゴロゴロと寝たり、ダンスしたりしている図を、見かけるのであるが、今の日本の何処どこへ行けばこんな変な浄土があるのかと思っておかしくなる事がある。
楢重雑筆 (新字新仮名) / 小出楢重(著)
なるほど、物置小屋の二倍くらいの建物が、水辺みずべに建っています。
墓が呼んでいる (新字新仮名) / 橘外男(著)
水辺みずべゆえ眺めことにすぐれたり。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
水辺みずべに住むものの誰しもが耳にするような噂をよく耳にしたことはあるが、ついぞまだ女の死体が流れ着いたという実際の場合に自分で遭遇でっくわしたことはなかった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
休息の時を送ろうとして岸本は水辺みずべまで下りて行った。岸に並んで洗濯する婦女おんなの風俗などを見ても、田舎にある都会の町はずれとは思われないほどひなびたところであった。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)