“水蒸気（すいじょうき）” の例文
旧字：水蒸氣
みるみるうちに、一抹（まつ）の水蒸気（すいじょうき）となって上昇（じょうしょう）してゆく……そして松並木（まつなみき）の街道（かいどう）は、ふたたびもとののどかな朝にかえっていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)
町（まち）の新聞（しんぶん）は、また白（しろ）い影（かげ）を科学的（かがくてき）に批評（ひひょう）をしていました。ある理学士（りがくし）は、白（しろ）い男（おとこ）のように見（み）えたのは、水蒸気（すいじょうき）のどうかした具合（ぐあい）で、人間（にんげん）の形（かたち）に見（み）えたのであろう。
白い影 (新字新仮名) ／ 小川未明(著)
朝の陽（ひ）が、ゆらゆらと峡（かい）のあいだから射（さ）してくると、つよい気高（けだか）い香気（こうき）が水蒸気（すいじょうき）のようにのぼって、ソヨとでも風があれば、恍惚（こうこつ）と酔（よ）うばかりな芳香（ほうこう）が鼻（はな）をうつ。
神州天馬侠 (新字新仮名) ／ 吉川英治(著)