死恥しにはじ)” の例文
こんな小んまい石塔で死恥しにはじかかされて——といおうとしたが、いねは黙ってしまった。するとまた子供の一人がいう。
(新字新仮名) / 壺井栄(著)
言うに言われぬわけあって、夫殺しの咎人とがにんと、死恥しにはじさらす身の因果、ふびんとおぼし一片の、御回向ごえこう願い上げまする、世上の娘御様方は、この駒を見せしめと、親の許さぬいたずらなど
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
適当の手段を得ずに、浅間しく生恥いきはじ死恥しにはじをのこすことについての臆病だったのだ。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「これほど意見しても肯かぬ気性の其方そちく/\は親の首へ縄を掛けるに相違ない、長生ながいきして死恥しにはじを掻こうよりいっそのこと食事を絶って死ぬに越したことはない」と涙を流しての切諫せっかん
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
いずれにもせよ、京子は賊の妻となって、死恥しにはじをさらさねばならぬのだ。
恐怖王 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ねエ死恥しにはじかきたくねえから鳥居の外へ出なせえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)