れっ)” の例文
何故かおそろしくて、とても字に書いたように描くことは出来ないのだが、寝てもめても漠然ばくぜんとしていて、しかもそのひと一人に通ずるれっきとした名前を、声にすることも出来ないくせに
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
もうとくに、余所よそれっきとした奥方だが、その私より年上の娘さんの頃、秋の山遊びをかねた茸狩に連立った。男、女たちも大勢だった。茸狩に綺羅きらは要らないが、山深く分入るのではない。
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)