此方様こちらさま)” の例文
旧字:此方樣
それに大恩のあるお両人ふたり様でございますから親父の帰る迄此方様こちらさまの御厄介に成って私も居ります積りでござりますから左様思召して下されまし
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
時に旦那さま、そう申せばこの頃は何とやら大層世間が騒々しいそうで御座りますが、此方様こちらさまに私見たようなものがおりまして万一もしもの事でもありましたらと、それがもう心配でなりません。
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
「ドウも御苦労さま、此方様こちらさまでも御愁傷ごしゅうしょうな」
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
新「うもトヽ飛んでもない事を仰しゃる、わたくしは何うもそんな、ほかの事と違い人を殺すなぞと、かりにも私は、どうも此方様こちらさまにはられません、ヘエ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私も命が欲しいからはいと云って遣ったら、五両ずつ月々小遣を送ると嘘ばかりいて、なんにも送りはしません、其の上友之助は大事の娘を何故此方様こちらさまへ金の抵当かたに置いた
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
此方様こちらさままで御無理を願いに上って………お蔭様で親子の命が助かります、誠にお気の毒様で
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
甚「それは縁はない、縁はないがね、縁を付けりゃア付かねえ事も有りますめえ、ねえ新吉とわっちは兄弟分、ねえ其の新吉が此方様こちらさまへ御厄介に成って居るもの其の縁で来た私さ」
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
大事な一人娘を何故親に無沙汰で、此方様こちらさまへ来て博奕ばくち同様な賭碁に書入れた、三百両と云う大金でお前は碁を打って楽しんだろうが、親に無沙汰で書入れて仕舞って、此方様だから
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
私に話もしないで此方様こちらさまへ書入れにして金をかりるとはあんまりではないか、お前のような不人情な人に附いていても、どんな目に逢うか知れないから、何卒どうぞ夫婦の縁は是れりにしておくんなさい
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わたくしは江戸の者で、小商こあきないを致します新吉と申す不調法者、此地こちらへ参りましたが、雷鳴かみなりが嫌いで此方様こちらさまへ駈込んだ処が、お留守様でございますからとめる訳にはいかぬと仰しゃって、お話をして居る処で
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
何んで此方様こちらさまへ来てえるんだ、こういう御商売柄ごしょうべえがらの中へ
文七元結 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
くの「松五郎さんのお宅は此方様こちらさまでございますか」
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)