此家このいえ)” の例文
「貴様は黙っておれと申すに! 妙……と申したな、今に此家このいえに血の雨が降るから、長庵坊主にクッ着いて早速引き取れ」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
熱に汗蒸れあか臭き身体からだいやな様子なくやさしき手して介抱しくれたる嬉しさ今は風前の雲と消えて、おもいいたずらに都の空にする事悲しく、なまじ最初お辰の難を助けて此家このいえを出し其折そのおり
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
老人は此家このいえの主人なんだ。僕は老人にお願して今晩だけ泊めて貰ったんだ。老人は僕を憐れんでにしんのご馳走をしてくれた。それから僕にへやを呉れた。その室で僕は眠った筈だ。すると拳銃ピストルの音がした。
死の復讐 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
もう三年も此家このいえに雇われている上に、正直者と評判の男です。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)