歌姫うたひめ)” の例文
母衣のすそよりうつくしききぬの裾、ちひさき女の足などこぼれ出でて見え候は、歌姫うたひめ上手じょうずをばつどへ入れて、この楽器をつかさどらせたるものに候へばなり。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
奈良山の一部に人麻呂歌集などにも出てゐる黒髮くろかみ山といふ山があり、そこから法華寺村の北方の歌姫うたひめといふ部落に出る舊道のある事を知つて、ちよつとその黒髮山とか
黒髪山 (旧字旧仮名) / 堀辰雄(著)
この一団の中にひとりの歌姫うたひめがいました。この歌姫はほんとうにすぐれた声楽家で、わたしはヨーロッパの大都会でこの人がほめそやされているのを見たことがあります。
なかんずく、イタリアの美しい自然を背景として美少年アントーニオと歌姫うたひめアヌンチアータとの悲恋ひれんえがいた『即興詩人そっきょうしじん』のごときは忘れがたい作品の一つであるといえよう。
絵のない絵本:02 解説 (新字新仮名) / 矢崎源九郎(著)
うるわしき歌姫うたひめ
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なかんずく、イタリアの美しい自然を背景として美少年アントーニオと歌姫うたひめアヌンチアータとの悲恋ひれんえがいた『即興詩人そっきょうしじん』のごときは忘れがたい作品の一つであるといえよう。
歌姫うたひめという美しい字名あざなだ。こんな村の名にしてはどうもすこし、とおもうような村にも見えたが、ちょっと意外だったのは、その村の家がどれもこれも普通の農家らしく見えないのだ。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)