うっ)” の例文
「おッさん、実は気がうっして来たんで、一杯飲ましてもらいたいんです、どッかいい座敷を一つ開けてもらいましょうか?」
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
日が落ちたと見えて、窓の外が蒼然そうぜんと暗くなった。夕闇がもたれかかった障子にが一匹音を立てた。気がうっして、背筋が固くなったような気がする。旅川が話し出した。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
「居は気をうっすと申して、人間はときおり場所をかえぬと、気がうっするものじゃ」
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
鏡葉之助はその時以来怏々おうおうとして楽しまなかった。自然心がうっせざるを得ない。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)