橄欖オリーブ)” の例文
なんの気なしに「座長、一天斎驚倒師」と大きく朱で書いてある橄欖オリーブオレンジのリボンで飾られた写真姿を見たとき
寄席 (新字新仮名) / 正岡容(著)
……ねえ、あなた、ベルナアルさんは立派な白衣僧ペール・ブランになったのでしょうね? 真白いローブを着て、橄欖オリーブの実の数珠を持って歩いていられるのでございましょうね?
葡萄蔓の束 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その橄欖オリーブ色の顔は変に息苦しそうな驚きに燃え立っていた。この見知らぬ男はどういう素性の男だろうか、そしてまた何んの用があって来たのだろうと考えているように。
そうかと思うと、西の土に落ちて育って花が咲いてを結んだ東の種だことのと、古来いろんな人に色んなことを言われて来ているこのESPANA——黒髪の女と橄欖オリーブ色の皮肌ひふ
私は例の如く茶の間に行つて同宿の人と一緒に飯を食つてゐると、風邪の氣味だといつて學校を休んで、咽喉に眞綿を捲いてゐる民子が窓側で幅の廣い橄欖オリーブ色の飾紐リボンを弄つてゐる。
札幌 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕は、愛の象徴たる天人花、戦いの象徴たる月桂樹げっけいじゅ、平和の象徴たる愚かな橄欖オリーブ、種子でアダムののどをふさごうとした林檎りんご、裳衣の先祖たる無花果いちじく、などを証人としてそれを主張するんだ。
彼女は、少しばつの悪い様子をして、たたんである橄欖オリーブ色の布を出した。
或る日 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
「此間お送りした「橄欖オリーブ」御覧になりましたか。」
眠い一日 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
アルルの近郊プロヴァンスに近い平坦な野原に朦朧とたたずむ橄欖オリーブ矮林わいりんのそばを轟々ごうごうたる疾駆を続けてゆく。