ずわえ)” の例文
ぐつと臂を張つたやうにしやに構へた太い本枝の骨組の勁さ。一気にさつと線を引いたやうに、ながく延び切つたずわえの若々しい気随さ。
独楽園 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
トその垣根へ乗越して、今フト差覗さしのぞいた女の鼻筋の通った横顔を斜違はすっかいに、月影に映す梅のずわえのごとく、おおいなる船のへさきがぬっと見える。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そうして其処で、まどろんで居る中に、悠々うらうらと長い春の日も、暮れてしまった。嬢子は、家路と思うみちを、あちこち歩いて見た。脚はいばらとげにさされ、そでは、木のずわえにひき裂かれた。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)