棒鼻ぼうばな)” の例文
棒鼻ぼうばなの向きが少し変って、前のは講武所の方へ向き、同時に駕籠の中から何か声高に言うのが聞えると、それに応じて後ろなる駕籠の中からも
その、大蒜にんにく屋敷の雁股かりまたへ掛かります、この街道かいどう棒鼻ぼうばなつじに、巌穴いわあなのような窪地くぼちに引っ込んで、石松という猟師が、小児がきだくさんでもっております。
眉かくしの霊 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
こう、叫んだかと思うと、道しるべの石から、躍然やくぜんと立ってきた法月弦之丞が、あわてる列をかきわけて、すばやく、一八郎の駕の棒鼻ぼうばなをドンと抑えてしまった。
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかしこのころ二人の者は、見付の駅路の棒鼻ぼうばなのあたりを、話しながら先へ進んでいた。
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
棒鼻ぼうばなあたりへ待伏せて鉄砲でってしまうからう思いなせえ
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
否やをいわせず、棒鼻ぼうばなを突き返して大手をひろげた虚無僧と虚無僧。
鳴門秘帖:06 鳴門の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)