板額はんがく)” の例文
ところが、やがて其の厳しい門を押し破って、和田わだ合戦の板額はんがくのように闖入ちんにゅうした勇者があらわれた。その闖入者は松居松葉まついしょうよう君であった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ここは白河道へ通じる松原の一角で、市民は、又学舎ゆうがくしゃとよび慣れているが、庭園の柴門には翠竹院すいちくいん板額はんがくが見えるし、講堂には、啓廸堂けいてきどうの額がある。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それからBのほうは、……巡査とボーイの、この二人の目撃者の陳述を基礎にすれば、そんな板額はんがくは、その夜、深川にも〈那覇〉にも現れていません。
金狼 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
板額はんがくは門破り、荒木又右衛門は関所を破る、常磐御前とここの城主はわが子のために、大事な操と陰嚢ふんぐり破ると、大津絵おおつえどころか痛い目をしてわれとわが手で両丸くり抜いた。
抱かれてやろうといって下すった、あなたのためなら。……飛んだ門破りの板額はんがくですね。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
百樹もゝきいはく越後にいたらば板額はんがくあるひは酒顛童子しゆてんどうし旧跡きうせきをもたづね、新潟にひがたをも一覧なし、名の聞えたる神仏をもをがみたてまつり、寺泊てらどまりにのこる 順徳帝じゆんとくてい鳳跡おんあと義経よしつね夢囱国師むそうこくし法然はうねん上人
数寄屋門に、四方庵の板額はんがくが仰がれ、門を入ると、奥まった植込から路地のこけじゃくとして、落葉の音しかしなかった。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「北国一だ。山代のともえ板額はんがくだよ。四斗八升の米俵、両手で二俵提げるだよ。」
みさごの鮨 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
百樹もゝきいはく越後にいたらば板額はんがくあるひは酒顛童子しゆてんどうし旧跡きうせきをもたづね、新潟にひがたをも一覧なし、名の聞えたる神仏をもをがみたてまつり、寺泊てらどまりにのこる 順徳帝じゆんとくてい鳳跡おんあと義経よしつね夢囱国師むそうこくし法然はうねん上人
このときの中幕には団十郎が板額はんがくの門破りを演じた。
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)