杯事さかずきごと)” の例文
その間に香折の母が手を廻して、香折と綾麿の祝言話が具体的に進み、いよいよ此月の十五日には三三九度の杯事さかずきごとをと話の決ったのは、明治九年の夏八月のことです。
もっと軍務ぐんむ多端たたんさいとて、そのしきいたって簡単かんたんなもので、ただ内輪うちわでお杯事さかずきごとをされただけ、もなく新婚しんこん花嫁様はなよめさまをおれになって征途せいとのぼられたとのことでございました。
「板屋びさしの弓長屋に、ひっそり縁者どもが寄り、簀掻藁すがきわらとこにしいて、うす暗い短檠たんけいの明りが三ツ四ツ、聟どのと花嫁が中ほどに坐って、形ばかりの杯事さかずきごとをしたまでのこと——」
日本名婦伝:太閤夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたりの間に杯事さかずきごとがあって、はなしはなお、気が楽になってきた。
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)